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株式会社ギケン
PRコーディネーター 菴 連也さんにインタビュー

2000万人に1人、国内に数人しか症例がない難病『高lgD症候群』を幼い頃から患う福井県在住の菴連也さん。自己炎症性疾患。体に常に炎症が起きている状態で、吐き気・頭痛・発熱・関節痛などがあり、現在は薬でコントロールしながらの生活だ。

入退院を繰り返す中、3歳頃から絵を描き始めた。10歳で本格的にスケッチブックに描くように。「絵を描き始めたきっかけは、入院していて何もすることがなかったからです。辛い治療を乗り越えるため、絵で自分自身を励ましていたのかもしれません」

自身の体験と想像を膨らませてユーモラスな作品を次々と生み出している。

2012年鯖江市文化の館での展示が注目され、東京で初個展を開き、京都市内でも個展を開催。
「大変な思いをしたのに素晴らしい絵ですね」「元気をもらえます」など個展を開くと様々な感想をもらい、率直に嬉しいが多少のプレッシャーもある。しかし、そのプレッシャーは自分の努力につながるエネルギーとなっているそうだ。

2013年、24時間テレビ「愛は地球を救う」に出演しアニメーション作家・伊藤有壱氏と一緒にクレイアニメを制作し、多くの人に希望と感動を与えた。

菴さんは、現在、株式会社ギケンで週4⽇テレワークをし、SNSの更新や管理、映像制作や企業発信など主に広報を担当。難病を理解してもらい就労を勝ち取るのは大変だったと語る。

さらには、⼀般企業に勤務しつつ、⾃⾝のデザイン会社(ORE LAB・FUKUI)を2022年10月に⽴ち上げた。
「今は企業で働かせてもらえて感謝しているが、ハンデがある中、仕事を見つけて働くというのは本当に大変なことです。でも、仕事はしていきたい。なのでいつかは自分の会社を作ってみたいという夢がありました。そして幼い頃から絵が好きなので、プロとして勝負してみたいと勇気を出して会社を作ってみたのです」

企業やカフェのロゴデザイン、チラシやフライヤー等の制作などすでに依頼がきているそうだ。

菴さんが仕事をする上で大切にしていることがある。それは結果よりプロセス。「仕事では結果を出すことが⼀番⼤事だとされていますが、まずはプロセスを⼤切にしたいと考えています。⽬の前の仕事にやりがいを感じ、愉しさ・緊張感…さまざまな感情を持ちながら仕事に従事するようにしています。そうすれば、たとえ失敗しても『⾃分は頑張った!』と⾃信を持って答えることができるからです」

会社を立ち上げたのは、利益を優先するというより、チャレンジしたい気持ちを大事にし、イラストで社会貢献したいとの思いから、周りの人の協力を得て一歩踏み出した。完璧な人間はいない。『ハンデがあるからできない』と諦めるのではなく『あまり重く受け止めなければ意外と挑戦できる』と。同じ境遇に置かれている方へ、力強くも不安を包み込んでくれるような言葉だと感じた。実際プロとして働くようになり、デザインの奥深さを実感。クライアントに納品して喜んでもらえた時が何よりも嬉しいと語る。

積極的に活動されているが、幼い頃は人目が気になって辛いこともあった。そこをどのように乗り越えたのか。
「人に見られても、別に悪いことをしているわけではありません。普通に生きているだけなので、気にしないようにしました。今でも見られることは気持ちがいいことではありませんが、難病は個性だと受け止めています」

この先目指していることは、まだまだ差別が多い世の中なので、そこを変えていけるような活動をしたいとのこと。「『障がい』『健常』ではなく『人』として見てほしい。そういう世の中にしていきたいです」困難を乗り越えてきた彼の言葉は強く温かい。

今が幸せ。このまま元気に生活していけるように頑張りたいとの笑顔が輝いていた。

インタビュー 佐々木美紅/鈴木琴実

豊川市立小坂井中学校2年
鈴木琴実さんの職場体験

職場体験。
初の試みを行いました。
『フリーペーパーどうどう』では、職場体験を行いインタビューしているところを見てもらいました。

参加してくださったのは、豊川市立小坂井中学校 中学二年生の鈴木琴実さん。生まれつき脊髄性筋萎縮症という障がいがあり、身体は少ししか動かず、飲み込む力がないため直接お腹に食べ物を入れながら生活しています。

コミュニケーションは、パソコンに入力した文字をこちらが読み取り理解したり、瞳の動きで『イエス』『ノー』を判断したりして、やり取りできます。

指先や瞳の動きでパソコンやタブレットを動かして、なんでもやりこなす琴実さん。

「なんでもやりたがりです。プログラミングや絵を描くことが好きです。勉強も大好きです」と自己紹介のプレゼンテーション動画を作成して教えてくれました。

職場体験の感想を聞いてみました。
今回、協力していただいた取材対象者は菴さん。職場体験参加の中学生、琴実さん。

インタビュアー&ライター佐々木(琴実さんと同じ病)。

三名でリモートをつなぎ、実際にインタビューの雰囲気を体験してもらいます。

琴実さんにも、あらかじめ質問をいくつか考えてもらいました。

インタビュー中、琴実さんが真剣な眼差しを向けていたのが印象的でした。

終了後、職場体験の感想をレポートで送ってくださったので紹介します。

「菴さんと佐々木さんは相槌を打ちながら話していてすごいなと思いました。インタビューってこういうものなのかと思いました。佐々木さんも私と同じ病気だと知り驚きました。菴さんは私と挑戦したい気持ちなどが共通しているなと思いました。私は緊張して、固まってしまい自分でも驚きました。いい経験ができてとても嬉しかったです。課題も見つかりました。これからも今回やった経験を活かしながら、菴さんや佐々木さんみたいに外でもできるように頑張っていきたいです!」

琴実さんへ今後挑戦してみたいことを聞いてみました。
「電動車いすサッカーをやりたいです。他には、プログラミングを使って機械を動かしたいです。プログラミングは、難しいけれどおもしろいと思いました。まだ勉強途中だけど、障がいがある人たちが必要としている機械を作ってみんなを助けたいです」と書いてくれました。

将来目指していることも話してくれています。

「中学を卒業したら、専門的にプログラミングや機械を作るための勉強ができるように、理系の学習ができる高校に行きたいです。今、進学先を考えていて、いろいろな学校に相談をしていますが、断られて困っています。勉強ができる環境をさがしています」

まとめ
今回職場体験に参加させてもらい、私も進路のことで悩んでいた学生時代を思い出しました。ハンデがありながら、社会に出て仕事をすることは苦労も多いかと思いますが、鈴木琴実さんの学びたい気持ちを理解し、受け入れてくれる環境が整っていくことを切に願っています。持ち前の明るさと、挑戦したい心を大切にして、負けずに前進してもらいたいです。

インタビュー 佐々木美紅