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日本福祉大学1年
吉田晴陽さんにインタビュー

脳性麻痺という障がいがありながら、小学部の特別支援学校の教師を目指している、大学一年生の吉田晴陽さん。

普段は電動車椅子を使用しながら、日本福祉大学で教育・心理学部子ども発達学科学校教育専修 特別支援コースで学んでいる。下宿しはじめての一人暮らしにも挑戦中。

■特別支援学校の教師を目指そうとしたきっかけ

小学校、中学校は、普通校と言われる通常学校に通っていた。両手足に麻痺があったが、自分が障がい者という意識はほとんどなかったと言う。高校になり特別支援学校を選択。そこで自分も障がいがあるのだと自覚した。

「今まで意識してこなかったので、ショックを受けてしまって……。学校に通えない時期がありました」

中学時代の友人の励ましもあり、高校二年生には学校に行くようになった。そこで周りを見てみると、唇しか動かない人やほぼ寝たきりなど様々な障がいを抱えた友がいた。

重い障がいがあっても懸命に取り組む姿を見て心を動かされ、もっと関わってみたいと思って進んでコミュニケーションを取りはじめた。「おはよう」と声をかけると、手を上げて返事をしてくれたり、笑顔を向けてくれたり。体が動かない部分はたくさんあるが、「話せない=分からない」ではなく、話せなくても感じていることに気づいた。特別支援学校の友人と関わっていく中で、教師から「先生のことよりもみんな吉田君のことが大好きみたいだよ」と褒めてもらったこともあり、自分もいつか特別支援学校で教師として働き、一人一人の力を引き出すお手伝いがしたい。そして楽しく人生を送ってもらいたいと思ったのがきっかけだ。

「特別支援学校に入学した時は、様々な葛藤があったが、今となっては教師を目指すきっかけを作ってくれた場所として感謝している」

■一人暮らしをはじめて感じたこと、大変なこと

ヘルパーの力を借りずに下宿生活を送る。手足の麻痺がある吉田さんにとって特に大変なことは洗濯だ。洗濯機から濡れたものを取り出して、干すという作業に時間がかかり、そのたびに実家にいたときの両親のありがたみを感じる。

両親が幼い頃からなんでもやらせてくれたおかげで、前向きにチャレンジできる性格になった。

大学進学が決まり、実家から通おうとも悩んだが、障がいがある先輩の話を聞いて下宿生活を決めた。

大学卒業後には社会人として一人で生活しなければならない。今の生活は必ず将来に役に立つと前向きに頑張っている。

この先やってみたいことは、アルバイトをしてみたいが、 応募しても車椅子との理由で断られてしまうことが多い。デイサービスで子供達と関わるアルバイトを希望している。

「車椅子のお兄ちゃんがアルバイトしているなら、自分もできるかも!」と希望を持ってもらいたいそうだ。

■心を折ってもらうことが大切

最後に、困難を乗り越えていくためのアドバイスを求めたところ「心を折ってもらうことが大切」だとの答えが返ってきた。

今までも差別を受けてきたことがある。しかしいち早く挫折を経験して、社会の大変さや辛さを知ることで恐怖心が消え、立ち向かう力が湧いてきた。「障がいというハンデは埋められないが、それ以外は埋められることがそこら中に落ちている。努力で埋めて自分の武器にしてい
くことが大切」と力強く語る。

吉田さんは、重度な障がいがあっても意思を示し、道を開いてきた人を何人も見てきた。そこで最後に読者にメッセージをくれた。

「障がいがあっても『自分のやってみたいことを言っていく』というのが大切だと思います」

■インタビューを終えて

前向きに頑張る姿に心が打たれた。夢を叶えた吉田さんに、またいつかインタビューさせていただきたい。教師となりたくさんの人の可能性を引き出してもらいたい。

インタビュー 佐々木美紅