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パラ卓球
藤原みなみ選手にインタビュー

「私は、誰よりも前向きに頑張ることが得意です!」と、明るく登場してくださった藤原みなみさんは、パラ卓球に情熱を注ぐ女性だ。
知的障がい、発達障がいがあり、21歳で遺伝性ジストニアを発症した。足に装具をつけて、杖を使用しながら生活している。
そんな彼女は、全日本パラ卓球選手権で3位になった。そして、国際大会の選考会へも参加するなど、世界を目指し日々奮闘中だ。

■パラ卓球とは?
障がいの程度や種類によって、クラスが分けられている。大きな枠でくくると、車いす(クラス1~5)、立位(クラス6~10)、知的障がい(クラス11)となり、数字が小さいほど、障がいの程度が重い。藤原さんはクラス7でプレーをしている。

■卓球をはじめたキッカケ
「幼い頃から体を動かすのが好きでした」
父が中学校の時、卓球部に所属していたことを知り、その影響で卓球に挑戦した。藤原さんは、プロになろうとは最初は思っていなかったそうだ。
地元秋田県の障がい者スポーツ大会で金メダルを獲得し、FID(知的障がいがある方が活躍するパラを目指す大会)に招待された。それがきっかけで藤原さんは「自分もプロを目指すことができるのだ」と、本格的にパラ卓球をはじめた。その後、あいちトップアスリートアカデミー(国際大会などに出られるよう育成する愛知県の取り組み)に選出される。21歳で身体障がいを発症したこともあり、知的障がいクラスから立位クラス7へ変更した。

■普段の生活/競技の楽しさや、大変なこと
普段は週に5日、フルタイムで働く。
仕事はコンビニのおにぎり用の海苔を使いやすくするための仕分けなどを行っている。
練習は専属コーチについてもらい、仕事がある日は19時から21時まで、休日は18時から21時まで、ほぼ毎日練習に励んでいる。
「私はとても卓球が大好きです。ですが、プロになることを目標にしてからは、覚えなければならないことが多く、卓球の奥深さを知り大変です。ですが、より卓球のことを学べて楽しいです」
視野が狭いこと、記憶することが難しいため、目を鍛えて克服するために、リハビリにも通っている。
「韓国の時代劇ドラマが好きです。ドラマの主人公を見習って逆境にも負けず頑張っている姿を見て、自分も頑張ろうと思えるんです」
どんなことも、卓球への糧にする姿が印象的だ。

■これからの目標
プロを目指すためには、練習場(公民館)を借りたり、遠

征があったりで、金銭的負担が多い。藤原さんは、夢を叶えるためにもスポンサーを探している。トレーニングに励み、金銭的にも工面しながら大会に出続ける。世界を目指すということは想像を絶するほど厳しい道であるのだ。
しかし、藤原さんは笑顔を大切にしながら練習に励み、前向きに進む。いつも明るい藤原さんだが、落ち込むとなかなか立ち上がれない時もあるが「落ち込む時があってもいいんだよ」とある人から言われ、どんなこともすべて経験だと学んだ。

「両親も、障がいがある弟も、コーチも、周りの方が支えてくれています。前向きに頑張ると応援してもらえて、また頑張ろうって思えるんです」パラ卓球をしていると、いろんな障がいがある人が周りにいて、それぞれ努力する姿を見て藤原さんも励まされた。どんなことも笑顔で頑張る姿を見てもらって、自分も周りの人も笑顔にしていきたいと語った。
「まずは国内での大会で結果を残し、プロとして海外の大会に参加して活躍したいです。そしてパラリンピックに出場して金メダルを取りたいです!」
力強く目標を聞かせてくれた。

インタビュー 佐々木美紅

BASE株式会社
安井 達哉さんにインタビュー

皆さんは、「eスポーツ」というものをご存知だろうか。
最近では、テレビや新聞などでも、eスポーツという言葉を目にする機会も増えてきたので、知っている方も多いかも知れない。

eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツの略で、コンピューターゲームをスポーツ競技と捉える際の名称である。

この、eスポーツで世界を目指したい!と夢を語るのは、安井達哉さん(28)である。

安井さんには、進行性筋ジストロフィー(デュシェンヌ型)という病気がある。
そのため、下半身は動かせないが、上半身の筋力はまだ残っていて、車いすからベッドへの移乗や、トイレに行くことはできているという。
インタビューに際し、とても落ち着いた良い声で対応してくれた。

今回は、そんな安井さんが取り組んでいる、eスポーツとボッチャについて聞いてみた。

【ボッチャ、eスポーツとの出会い】
安井さんがボッチャを始めたきっかけは、小学5年生の時、同じ病気の知人の紹介だったそうだ。
同じ体育館で練習し、始めてすぐの愛知県の大会で、いきなり3位になり、自信がつき、これだったらいい成績を出せるかも知れない!と思った。
以来、19年ボッチャを続けている。

また、小さい頃からパソコンに触れていた安井さんは、ゲームを通して、eスポーツでも世界を目指せるんじゃないかと考えていた。

そんな安井さんは、群馬県障害者eスポーツ大会出場中に、BASE株式会社からスカウトを受け、企業アスリートとして仕事をしている。

【BASE社から、どんなふうに声をかけられたのですか?】
大会終了後、BASE社の方が出口で待っていてくれて、「うちの会社で働いてみないか」というように声をかけて下さった。
自分でも初めての経験で、とてもビックリしたと安井さんは振り返る。

BASE株式会社といえば、筆者としては、ネットショップ作成会社というのがまず頭に浮かんだのだが、eスポーツをする障害者の雇用も積極的に促進しているということも、安井さんを取材させていただくことで知った。

eスポーツには、主に戦闘、格闘系のゲームを始め、シューティングゲームや、実際にあるスポーツのシュミレーションゲーム、レースゲーム等がある。
また、eスポーツという分野は、ゲームの中でも活発に大会が行われているもののことを言う。各大会では、高額賞金が出るものもある。
【アスリート業務は、どんなことをしていますか?】
基本はeスポーツやボッチャの練習です。
また、eスポーツの、社内や社外での交流の企画運営もしていて、選手としての活動と両方やっています。

最近では、大会の出場に関して、誰でも参加できる大会が多くなってきてるんです。
そこで、D&I (ダイバーシティー&インクルージョン)の発信の需要がでてきた。
大会に出て、障害の有るなし問わず関わっていき、D&Iの発信をしています。

【PCは不自由なくできていますか?】
はい、できてます。
小さい頃から家にパソコンがあって、小学校に入ったくらいから使ってました。
子供の頃は独学でやってましたが、学校に入ってからは、技術の情報処理で学びました。

安井さんは、ボッチャのチームを作って活動もしている。
それは飽きることなく楽しいと、声を弾ませる安井さん。

【そんな安井さんの好きなこと、休日の過ごし方は?】
動画やアニメ、映画を観て過ごすことが多い。
特に、スポーツ系の熱いドラマやアニメが好きで、「黒子のバスケ」や「ハイキュー!」(バレーボール) はお気に入りだという。

また、「レベリングが趣味で、RPG(ロールプレイングゲーム)とかでレベル上げを上限にしたりすることで嬉しかったり、達成感を感じたりしてます」と、はにかんだ口調で話してくれた。レベリングとは、キャラクターを育成したり、戦闘しながらレベル上げをしていくことである。
ストリーマーのライブ配信もよく観ているそうで、実況解説動画よりはプレイ動画を好んで観るという安井さんは、自身でも時々配信することがあるそうだ。

【夢、これからの目標】
ボッチャでパラリンピックを目指したり、eスポーツで世界に羽ばたきたいと話す安井さんは、できれば5年以内に実現したいと話す。

ボッチャは既に、パラリンピックの正式種目であるが、eスポーツもオリンピックの種目になるのではないかと話題になっている。

パラリンピックの舞台で活躍する彼を、また、eスポーツの分野では、世界で名を知られる彼を見られるのを楽しみに、これからも応援していこう。

インタビュー 前田 真規