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おもやいマルシェ 斉藤たかえさんにインタビュー

「今回も、マルシェにはたくさんの方に来ていただいて大盛況だったのですが、肝心の私はたこ焼きを焼くのに精一杯で、あまり周りを見ている余裕がありませんでした(笑)」
 そう朗らかに語ってくれたのは、おもやいマルシェを主催する斉藤たかえさん。おもやいマルシェとは、障がいのある人も無い人も、みんなで楽しい時間を一緒に過ごそうよ! という思いを込めて斉藤さんが始めたマルシェだ。
「おもやい」という言葉は、斉藤さんの故郷である山口県でつかわれている言葉で「共有する、一緒に仲良くつかう」という意味がある。

おもやいマルシェは名古屋市緑区にあるアトリエあおぞらで行われる。2022年から年に約3回開催され、2023年11月5日(日)の開催で6回目となった。開催時間の10時から14時の4時間で、毎回100人ほどの来場者があるそうだ。マルシェで販売するものは、チャレンジドたちがお店の店員をしているたこ焼き、自家焙煎の本格珈琲、地域の作業所のクッキー、石鹸やハンドメイド商品。そして、以前どうどうでもご紹介した、チャレンジドクリエイターのイラストをデザインしているZUCCHINIの商品などである。

斉藤さんがおもやいマルシェを始めたのには、次のような経緯がある。
「知的障害、多動、自閉症の息子が買い物の練習をするときに、ほとんどのお店の店員さんが嫌な顔をすることなく優しく見守っていてくれていて、その経験の積み重ねで今、息子はお金の価値を理解し、自分の好きな物を自分の意思で買うということができるようになりました。そして、たくさんの人に支えられて親子共々成長することができたので、今度は私が少しでも何かお役に立てればいいなという気持ちから始まったのが、おもやいマルシェです。
私はたこ焼きが好きなので、いつかたこ焼きのお店をやりたいと思っていたこともあり、お店をするなら、障がいのある人が買い物をしやすいお店にしたいとも思っていました。
私だけの想いではなかなか実現しなかったのですが、場所を提供してくれたアトリエあおぞらさん、サイアンスコーヒーさん、たこ焼きを手伝うと申し出てくれた親友達のおかげで実現することができました」

活動するうえで斉藤さんが大切にしていることは、名前の由来どおり、誰もが笑顔で楽しい時間をおもやいできて、チャレンジドたちが活躍できる場所であることだ。
「チャレンジドたちが活躍できるように、たこ焼き屋さんでは店員の得意に合わせた役割にしたり、買い物に来た人にも分かりやすいチケット制にしたりと、いろいろと工夫をしています。毎回課題があり、その都度臨機応変にやり方を検討し、スムーズにお仕事や購入ができるように内容を変更しています。お店の店員さんにはアルバイト代も出ます」

おもやいマルシェの来場者は、障がいのある子どもをもつ親や子、本人、支援員、保育園や学校の先生など関係者がほとんどで、久しぶりに会う人たちの交流の場にもなっている。
「息子が幼いときは本当に大変で、息をすることさえ辛い時期がありました。でもそんなときに、同じ境遇のお母さんたちに支えてもらったことがとても励みになりました。そんな経験から、親だけでなく支援員さんや先生などと交流できるサロンも併設できることが理想です」
仕事をしながら年に3回のおもやいマルシェを開催する斉藤さん。実際にはかなり多忙なようだが、マルシェが終わった際には達成感が大きいという。最後に斉藤さんが次のように語ってくれた。
「毎回たくさんの方にご来場いただいて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。でも、みんなで楽しい時間をおもやいしよう! と言っているにも関わらず、私は眉間にしわを寄せて黙々とたこ焼きを焼いているそうです(笑)。こんなことではお客さまだけでなく、お店の店員のチャレンジドたちにも気持ちよく過ごしてもらうことができませんよね。みんなが楽しい時間をおもやいするマルシェなんだから、私が一番楽しまなくては! と最近気づいた次第です。難しい顔をしてたこ焼きを焼いていたら『スマイル、スマイル!』って声をかけてくださいね。とびきりの笑顔でこたえますね。チャレンジド店員さんにも気軽に話しかけてみてくださいね」

現時点では未定だが、次回のおもやいマルシェは、来年の春頃に開催予定だそうだ。きっとまた、たくさんの人が集まって、活気のある場所となるだろう。

インタビュー 小林 景子

シンガーソングライター 相羽崇巨さんにインタビュー

筋ジストロフィーで呼吸器を着けながら精力的に音楽活動をされている相羽崇巨さんに、音楽の世界に入ったきっかけや、それを続ける原動力などインタビューしました。
【最初は朗読の活動をされてた相羽さん。そんな中で七尾旅人さんと知り合って音楽の道に進まれましたよね?旅人さんと出会ったきっかけは?】
僕は歌うことが好きでカラオケも好きなんですけど、野外音楽フェスが大好きで愛知県内で開催されるフェスに結構行ってて、岡崎のリブラという図書館の「リゾームライブラリー」というフェスに七尾旅人さんも出演されるのを知りそこに足を運んだのがきっかけです。

【そこで旅人さんから声をかけていただいたんですか?】
そうなんです。僕その当時、ド根性ガエルの服を着て呼吸器を着けて見てたら、ステージから旅人さんが「君、呼吸器つけてめちゃカッコいいね」って声をかけてくれたんです。僕それまで生きてきて呼吸器を着けてることを恥ずかしいと思ってたので、初めて「そんなこと言ってくれる人がいるんだ」ってまずそのことに感動したんです。そこで旅人さんが「僕の曲で何が聞きたい?」って言ってくれて、彼を知るきっかけになった曲『サーカスナイト』を歌ってほしいって言ったら、ステージから降りてきてくれて隣で歌ってくれたんです。
旅人さんの音楽は子供と一緒に即興で音楽を奏でたり、多種多様な方とセッションをされていて、演者もお客さんも誰も一人ぼっちにはしないなって感じました。まさに僕の目指している世界がそこには広がっていて、音楽って元気を貰えるし素晴らしいな、パワーがあるなって改めて思いました。
それから旅人さんとSNSを通じてやり取りするようになりました。
やり取りするようになってから、旅人さんに自作の詩を送ったんですよ。そしたら「君すごくいい詞を書くんだね」って言われて、何か一緒にやれるといいねと話して4ヶ月後の2019年の9月大阪で全感覚祭というフェスがあって、ぜひ旅人さんにお会いしたいと思って、自分で新幹線を予約してヘルパーさんと日帰りで行ったんです。そうしたら旅人さんが、楽屋においでよって呼んでくれて、突然「相羽くん、ステージに上がって音楽に合わせて朗読してみない?」と。そこで初めて二、三千人くらいの音楽ファンの人たちの前で披露しました。それが僕の中でも忘れられない景色となりました。
その後旅人さんから正式にオファーをもらい「トリエンナーレ 円頓寺デイリーライブ」でたくさんの人の前で朗読させてもらって、その時に「ミュージシャンじゃなくても、作りたいっていう意思があれば誰でも曲は作れるよ」って教えてくれたんです。僕もそれまでは呼吸器もつけてるし、歌が上手いわけでもないから、ミュージシャンなんて天才にしかなれないと思ってた。でも旅人さんが「相羽くんはいい詞を書くし才能があるから、一回挑戦してみてほしい」って言ってくれたんです。そこから曲を作り始めました。
筆者も相羽さんの曲を何曲か聞かせていただいた。特にアルバム「朱夏の約束」は、どの曲にも日常の生活音、効果音が使われていて楽しい。相羽さんの声も歌い方も、緩〜い感じでほのぼのと癒されるサウンドだった。鼻マスク式とは言え、人工呼吸器をつけてるとは思えない歌いっぷりである。「カラオケでたくさん歌ってきたことが、今に活きてるんじゃないですかね」と相羽さん。歌うのに必要な肺活量も問題ないように見えた。

【曲を作る上で大切にしていることは何ですか?】
日常にある小さな幸せを大切にすること。曲を聞かせていただいて、相羽さんの曲には本当に小さな幸せが沢山詰まってると思った。
 着飾らないで自分らしくいること。人との出会い全てに感謝して、笑顔を絶やさずいること。これは相羽さんを見ていると、その笑顔が物語っている。
障害を持ってると周りの方から「大変だね」とか「辛いね」とか言われるけど僕は全然そうは思ってなくて、今こうして出会えた人やヘルパーさんがそばにいてくれるのも僕が障害を持ってるから出会えたし、決して悪いことばかりじゃない「ありがとう」という気持ちを歌に込めたい。
辛いな〜、苦しいなって思って生きてるよりは、あれやりたい、これやりたいってたくさん思って生きたほうが絶対楽しいし、日日是好日という言葉が好きで、雨の日には雨の日の楽しみ方があるように、障害があっても辛いことじゃなくて楽しいことに目を向けていきたいなって思ってるんです。それが僕の音楽をやる原動力だし、続けていきたいっていう根拠になってますね。
■今後目指していること、目標について。
【相羽さんのYouTubeはありますか?】
音楽関係のYouTubeチャンネルはあるんだけど、それとは別にYouTuberとして活動したい。僕にとって呼吸器つけて生活することは全然大変じゃないから素の自分を見てもらいたいなって。日常の楽しいことも届けていきたい。そういう姿を見てもらって、障害は個性なんだなって思ってもらいたい。中にはそうじゃないって言う人もいるけど、僕はそういうのはウェルカムなんで。障害も一つの個性、武器として使っていかないと生きていけないと思うんです。
【路上ライブもやっているのですか?】
路上ライブは普段ライブハウスで歌っているので実は一度もやったことがないんです。路上ライブって今までのようにお客さんが聞いてくれるか心配だけど、今よりもたくさんのお客さんに知ってもらい歌を聴いてほしいので近いうちにやってみたいです。音楽の幅を広げるためにも、もっと色んな場所に出向いて歌わなくちゃなって。
僕も今まで働きたくても障害が重いっていう理由だけで働き口がないから、音楽を生業として音楽で食べていけるようになりたい。その上で大きなフェスやメディア等に出れたら嬉しいな。
そう語ってくれた相羽さんの胸の内には、ワクワク感がいっぱい溢れているようだ。筆者も音楽が大好きなため、相羽さんの今後の活動を応援すると共に注目していきたい。

インタビュー 前田真規